福岡高等裁判所 昭和59年(く)63号 決定 1984年11月21日
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告申立の趣旨並びに理由は、記録に編綴された「抗告の申立書」記載のとおりであるから、これを引用する。
よつて本件記録及び被告人に対する頭書被告事件の記録を検討するに、本件は刑訴法八九条一号に該当する事案である(選択刑として罰金刑等の刑の定めがあつても、法定刑全体の中に刑訴法八九条一号の刑の定めが含まれていれば右法条号に該当するのであつて、この点の弁護人の主張は独自の見解であつて採用できない。)し、本件事案の内容、性質、被告人の経歴、前科等諸般の情況に鑑みるときは、公判審理が所論指摘のような段階にあることなどを十分考慮しても、裁量による保釈を適当とすべきものとも考えられない。
そうだとすると、原裁判所が被告人には右法条号に該当する事由が存し、なお勾留の継続の必要性があるものと認めて本件保釈請求を却下したことは相当であつて、本件抗告は理由がない。
そこで、刑訴法四二六条一項により本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。